会員の活動

東京同好会

俳句同好会

林 三平
梅一輪肩の荷少し軽くなり
無造作に椿の挿され辻地蔵
青き踏む戦火に荒れし地は如何に
春うらら猿の親子の毛繕い
ほろ酔いの目に飛び込みし白木蓮

近藤陽明
灯の色は春になりたる瀬戸の島
とつときの酒ポケットに花見かな
遅き日やプランばかりで何もせず
酒進み来し方おぼろ海おぼろ
菜の花や山の彼方に海光る

谷口一郎
日脚伸ぶたいやき店に人の列
古雛優しきおもて失はず
ひとときの花人となり橋の上
囀りや味噌汁匂ふ朝の径
土堤をゆくファイトの掛け声猫柳

坂部博志
チヨッキでも着せてやりたや寒雀
その昔土筆も卓の主役なり
ボケきたか昔話と春炬燵
八十路越え花と団子と友あれば
この頃は桜前線乱高下

横山 稔
コロナ下で俳句読み初め春浅し
百歳の恩師からくる年賀状
寒梅や老に目覚めるモノ忘れ
早まるも花見はできる温暖化
花の里傘寿に集う中学の仲間

山田良男
いくつかの梅林巡り一万歩
ひこばえに一輪の花咲きにけり
飛花落花来年も又この場にて
墓参り空耳でなく初音聞く
鶯の声に思わずおお見事

木田俊治
うたかたの一生なりけり寒昴
ウクライナよきこといつか雪割草
落椿紅を残しつ流れけり
花筏調はぬまま流れそむ
川底の煌めく石や夏隣

古田陽久
芭蕉布の誘う首里や旅心
柳川は水郷の街燕子花
桜咲く親鸞さまの本願寺
移りゆく若葉の季節の息吹かな
不穏なる台湾の空黄砂ふる

野地邦雄
風を選る勝手気ままな風信子
歳月は水脈の如くに臥竜梅
蒼天や山河は雪に雪重ね
着膨れて好々爺となりにけり
喜寿なるもいやに酸つぱし冬林檎