会員の活動
東京同好会
東京俳句同好会
林 三平
人の世の争いよそに芝桜
少子化の進む此の国梅雨寒し
遠雷に心を過ぎるウクライナ
薪能シテの出を待つ橋掛
著莪の花奥の院へと誘いし
近藤陽明
ひさびさの夜店仕度の音弾む
黒南風や鉄鋲多き橋くぐり
雨蛙後足ぐんと伸びて跳ぶ
ぐい吞みの表面張力熱帯夜
航跡の白く広がる白夜かな
谷口一郎
デパートに新茶入荷の幟旗
若竹やゆふべの雨に軒を越へ
ふらここの揺るるをあとに母子去る
上水や古き堤の青すすき
川幅を横一列に鯉のぼり
坂部博志
石菩薩赤き前垂れ風薫る
三姉妹なれど今年も五月鯉
久々の富士の雄姿や梅雨晴れ間
より高く胡蝶紋白競ひ合ひ
キョロキョロと何を思案の蜥蜴の子
横山 稔
友逝きて半年後の訃報梅雨の空
コロナ下の八十路で習う盆踊り
四度目のワクチン痛し紫陽花
若き日の札幌勤務春スキー
羅臼岳夏の縦走から五十年
山田良男
老鶯の出迎へ受けて墓参り
四阿の語らひに添う柳かな
朝早き散歩目当ては蓮見かな
菜園の縁取り飾るチューリップ
梅雨明けや景色が変わり風光る
木田俊治
ラマダンの明けを冷えたる西瓜かな
紫陽花の藍が極みのパティオかな
境内に風の道ある夏木立
みどり射す開きて待てる朱印帳
湯河原にほたる乱舞のひとしきり
古田陽久
青空に伸びよ向日葵ウクライナ
梅雨寒や賢治の詩碑を訪れぬ
柳河に白秋偲び燕子花
飲むたびに外すマスクや冷し酒
蓮の花色も至福の極楽寺
野地邦雄
わが居場所なき故郷の青田かな
ダリの絵に吸い込まれさう油照
鏡面の沼一筋の蛇の水脈
冷汁や強い男になりきれず
貝の砂奥歯で砕く沖縄忌